竹田有希のロンドン報告

Do not follow where the path may lead.Go instead where there is no path and leave a trail.

ロンドンの不動産賃貸借事情について 

ロンドン留学中の弁護士の竹田有希です。今年の3月下旬からロンドンに移り住み、ようやく生活も安定してきたので、これから毎月ロンドンに関する情報をお伝えしようと思います。 

自宅外観

 

 第1回目の今回は,「ロンドンの不動産賃貸借事情」についてです。

 私は,ロンドン行きが決まった後,まずは生活の本拠地たる自宅を確保するべく,イギリスの不動産賃貸借のサイトを開きました。
 まずそこで驚愕の事実を知ることになります。
 ロンドンの不動産の賃料が異常に高いのです。
 ロンドンの中心地では1LDKの物件が賃料30万円以上となっており,東京と同等もしくはそれ以上です。近年,ロンドンの不動産価格は高騰し続け,賃料もそれに比例して高騰しているという状況で,まさにロンドンは不動産バブル真っ只中。
 ロンドンの中心地においては,賃料が高すぎるため,テナントが賃料を払えず撤退するという事態が起きており,空き物件が増加し,それが社会問題になっているほどです。私は,賃料の高さに愕然としながらも,住む家がないと何も始まらないので,涙をのんで賃貸借契約を締結しました。
 私は,ロンドンに着いた翌日,物件の引き渡しを受けました。
 ここで日本と異なるのが,入居時及び退去時に「インベントリー・チェック」という手続きがあることです。
 インベントリー・チェックとは,賃貸人及び賃借人とは利害関係のない第三者機関(インベントリー会社)が,不動産及び付属設備の入居時及び退去時の状態を確認するというものです。ロンドンでは,築100年以上の不動産が少なくなく,時代や生活の変化に応じて改修されて利用されています。そのため,賃貸物件において水漏れがあったり,壁にひび割れがあることは珍しくありません。そこで,第三者が,鍵の引き渡し直後に不動産に立ち入り,入居時の状態(特に不具合)について細かく確認するのです。そして,入居時の各部屋及び付帯設備の写真を撮って証拠化し,各々の状態を詳細に記載したインベントリー・リストを作成します。
 インベントリー・チェックの約1週間後に,インベントリー・リストが賃借人に送られます。賃借人は,同リストに記載された内容を確認し,間違った記載や不具合の記載漏れがある場合は,該当箇所を写真に撮り,正確な状態をメール等でインベントリー会社に伝えます。これにより,入居時の不動産及び付帯設備の状態が確定されるとともに,退去時の原状回復の基準が確定します。我が家でもインベントリー・リストの内容をチェックし,記載漏れがあるところをインベントリー会社にメールで通知して,なんとか無事入居時のインベントリー・チェックを終えました。
 あとは退去時に再びインベントリー・チェックを行い,通常損耗を除く破損箇所等があれば該当箇所の修繕費をデポジット(敷金)から差し引かれる形で支払い,残ったデポジットを返金してもらうことになります。

 余談ですが,我が家では入居時に,寝室の電気が点滅し続けるという不具合と,浴室のシャワー部分の水漏れが見つかりました。これらは賃貸人が修繕してくれることになったのですが,なかなか腰の重い賃貸人で…。
 結局,水漏れの修繕に1か月以上かかり,約1か月の間,水が漏れたままシャワーを浴びるという生活でした。
 なお,寝室の電気はいまだに修繕されず,点滅したままです
 

自宅外観

セントポール大聖堂

セントポール大聖堂

昼のテムズ川

夜のテムズ川

夜のテムズ川

ロンドン中心地の街並み

ロンドン中心地の街並み

ロンドン塔とタワーブリッジ

 

大英博物館

 

2019.05